歴代の『水滸伝』関連資料を調べるには
今回は中国における歴代の『水滸伝』関連資料を集めた本をご紹介します。今から紹介する本には『水滸伝』の各版本に関する資料はもちろんのこと、物語に登場する人物の史実の記録や、小説批評、戯曲や続書など、『水滸伝』に関するあらゆる記述・著作が収められています。これらは小説の成立過程、読者の受容、メディアミックスなど、あらゆる方面の研究において有益な資料ばかりです。
今回は主なものを3冊紹介します。収められている資料について、細かく内容を説明するよりも、目次を見てもらった方がわかりやすいと思いますので、写真が少々多くはなりますが目次を全て載せようと思います(決して楽をしようとしているわけではありません、決して)。
まず、『水滸伝』に関わるあらゆる資料の原文を集めてくれているのが次の2冊です。
①朱一玄・劉毓忱編『水滸伝資料彙編』(百花文芸出版社、1984〔第2版〕)
収録資料の分量で言えばこれが最も多く、「本事編」「作者編」「版本編」「評論編」「注釈編」「影響編」の6編に分けられています。
②馬蹄疾『水滸資料彙編』(中華書局、1980〔第2版〕)
収録資料数は①には劣りますが、それでも圧巻の分量です。①と②を合わせて用いれば、歴代の関連資料はほぼ網羅できたと言えるでしょう。
③馬蹄疾『水滸書録』(上海古籍出版社、1986)
先の①②は共に歴代資料の原文を引いたものになります。一方で次の③は、②と同じく馬蹄疾氏が編んだ、主に版本や続書・戯曲などの関連作品の書誌情報や内容についてまとめた書籍になります(※3枚目参照)。
今回は写真中心の紹介でしたが、こういう書物があるということを知っているかどうかが、研究の効率に大きく影響します。『水滸伝』に限らず、「〜〜彙編」という書籍は数多く存在します。こういった便利な書物はどんどん活用していきたいものです。今回も短めですがここまで。ではまた。
ぴこ