聚義録

毎月第1・3水曜日更新

金聖嘆

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(9)

さて今回も「読法」を読んでいきましょう。 【55】 有綿針泥刺法。如花榮要宋江開枷、宋江不肯、又晁蓋番番要下山、宋江番番勸住、至最後一次便不勸是也。筆墨外、便有利刃直戳進來。 〔訳〕 綿針泥刺法というものがある。例えば、花栄が宋江に枷を外させ…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(8)

長らく更新が途絶えていた「金聖嘆「読法」を読む」シリーズですが、今回からまた読み進めていきます。「文法」の解釈は難解な部分も多いですが、適宜先行研究を参照しつつ、少しずつ読んでいけたらと思います。 【52】 有夾叙法。謂急切裏兩箇人一齊說話…

周勛初著/高津孝訳『中国古典文学批評史』(3)

今回も周勛初著/高津孝訳『中国古典文学批評史』第十章「李贄と金人瑞の小説理論」(pp.419-433)の続きを読み進めていきます。前回は李卓吾の小説理論について論じた部分を読みましたが、今回は金聖嘆のパートに移ります。今回は、過去の記事で触れた内容…

周勛初著/高津孝訳『中国古典文学批評史』(2)

さて、今回は前々回の記事の続きで、周勛初著/高津孝訳『中国古典文学批評史』を読んでいきたいと思います。第十章の「李贄と金人瑞の小説理論」(pp.419-433)を読み進めていきます。李贄とは李卓吾、金人瑞とは金聖嘆のことです。本書のこの章は李卓吾と…

周勛初著/高津孝訳『中国古典文学批評史』(1)

さて、今回からは周勛初著/高津孝訳『中国古典文学批評史』(勉誠出版、2007)を読んでいきたいと思います。本書は書名の通り、中国文学批評史を概説したもので、高津氏が原著の周勛初『中国文学批評小史』を翻訳したものです。本書は版元品切れになってお…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(7)

引き続き「読法」を読み進めてまいりましょう。今回から読む「文法」についての段落は、「読法」の真骨頂と言っても過言ではありません。今回読むのは第49〜51段です。 【49】 吾最恨人家子弟、凡遇讀書、都不理會文字、只記得若干事蹟、便算讀過一部…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(6)

突然ですが、私が「読法」の翻訳にチャレンジしてみようと思ったきっかけをお話しします(※以下、自分語りとなります、ご容赦ください)。 私が本格的に「読法」を読んでいこうと思ったのは、博士課程進学のための院試を直前に控えた2018年の冬に、以前本ブ…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(5)

前回に引き続き、金聖嘆「読第五才子書法」を読み進めていきます。今回はいつもに比べて少ないですが、第31〜35段を読んでいきたいと思います。 【31】 林冲自然是上上人物、寫得只是太狠。看他算得到、熬得住、把得牢、做得徹、都使人怕。這般人在世…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(4)

今回も金聖嘆の「読法」の続きを読んでいきましょう。今回は第22〜30段です。今回から内容は大きく変わり、好漢たちへの評価について述べています。金聖嘆は梁山泊の好漢たち(全員ではありませんが)を「上上」・「上中」・「中上」・「中下」・「下下…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(3)

前回に引き続き金聖嘆「読第五才子書法」を読み進めていきましょう。今回は第12〜21段です。 【12】 三箇「石碣」字、是一部『水滸傳』大段落。 〔訳〕三つの「石碣」の字は、『水滸伝』の重大な段落である。 「石碣」とは石碑のことです。金聖嘆本で…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(2)

前回に引き続き金聖嘆「読法」を読んでいきましょう。今回は『水滸伝』の文章の特徴について述べた部分のうち、第7〜11段を読んでいきたいと思います。 金聖嘆は度々『水滸伝』を『史記』と比較したり、『史記』に擬えたりしています。今回読む部分からも…

金聖嘆「読第五才子書法」を読む(1)

明末清初の文人である金聖嘆は百二十回本『水滸伝』の本文を改変し、大量の評語を附した『第五才子書施耐庵水滸伝』(通称「金聖嘆本」)を編纂しました。その冒頭には「序一」・「序二」・「序三」・「宋史綱」・「宋史目」といった幾つもの文章が置かれて…