聚義録

毎月第1・3水曜日更新

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

平岡龍城訳『標註訓譯水滸傳』

今回は、大正期に刊行された『水滸伝』の訳本について紹介します。大正三年から五年にかけて『標註訓譯水滸傳』(以下、『標註』と略称)という訳本が出版されました。訳注者は平岡龍城という人物です。写真のような線装本で、全15冊あります。ちなみに底本…

李卓吾「忠義水滸伝叙」を読む

今回は『水滸伝』百回本の代表的な版本である容与堂本の序文のうち、李卓吾「忠義水滸伝叙」を読んでいきたいと思います。この文章には李卓吾の『水滸伝』観が大いに表れていますので、明代の白話小説批評の点からしても、非常に重要な資料であると言えます。…

論文紹介2:荒木達雄「『水滸伝』に見える「義」の解釈」(2)

前回に引き続き、荒木達雄「『水滸伝』に見える「義」の解釈」(『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第13号、pp.22-48、2010-11)の内容を紹介していきます。 ○本論文の目次 1.問題の所在 2.「義」の表れる場面とその解釈 3.朱子学の「義」 4.陽明…

論文紹介2:荒木達雄「『水滸伝』に見える「義」の解釈」(1)

『水滸伝』には様々な版本が存在しています。それらの中には作品タイトルに「忠義」を冠したものがいくつもありますが、『水滸伝』における「忠」や「義」あるいは「忠義」とはそもそもどのようなことを指すのでしょうか。今回は『水滸伝』に見られる「義」…